時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日韓海底トンネルへの不安

 先日、政界では、日韓海底トンネルを推進するための超党派議員連盟が発足したと言います。統一教会の暗躍や経済的にも採算性がないことが指摘されていますが、我が国の安全保障を考慮しましても、安心できないプロジェクトなのではないか、と思うのです。

 まず第一に心配されることは、大陸と陸続きになるという恐怖です。かつて、ナポレオンによる侵攻を受けたスペインでは、フランスとの間に鉄道が直接に接続されることを恐れて、わざわざ自国の鉄道ゲージをフランスのものと変えていたと言います。陸続きのスペインでさえ、隣国の軍隊が大量に自国領域内に侵入してくるルートを設けることを恐れたのです(現在では、両国ともEU加盟国同士ということで、ゲージの統一が図られましたが・・・)。我が国と大陸諸国との間では、緊張関係が解けておらず、かつ、日本国の強みが、四方を海に囲まれているということを考えますと、わざわざ、その強みを放棄する必要もないと思うのです(いざ、有事となれば、トンネルを埋めればよいのですが、それでも、莫大な経費の無駄となります・・・)。

 第二に、フランスとイギリスとを結ぶユーロ・トンネルが、不法入国のルートとなっているという前例があることです。日韓海底トンネルもまた、建設されれば、不法移民や、最悪の場合には、工作員やスパイが密かに侵入するルートとなるかもしれません。これでは、国内の治安が悪化するでしょうし、また、安全保障上の問題も発生することになります。

 以上に問題点を二点挙げましたが、日韓海底トンネルは考えもの、と思うのです。