時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

N.Y.フィル訪朝に見る北朝鮮の限界

 昨日、アメリカのニューヨーク・フィル北朝鮮ピョンヤンを訪問し、北朝鮮要人を前に講演したことがマスコミを通して報じられています。しかしながら、この”バイオリン外交”なるもの、あるいは、北朝鮮の妥協の限界を示す、シグナルかもしれないのです。

 仮に、北朝鮮が、アメリカの求めに応じて、核放棄へのステップをさらに進むつもりでいるならば、敢えて、文化交流を演出する必要はなかったはずです。北朝鮮が、大々的にニューヨークフィルの訪朝や音楽家の招聘をアピールしていることは、金政権の手詰まり状態、すなわち、これ以上、核計画の申告など、全面的な核放棄に繋がるような措置はとる余地がないことの裏返しかもしれないのです。交渉が限界に達したことををカモフラージュし、国際世論の関心を逸す必要性が、北朝鮮にあったと考えられるのです。

 この憶測は当たっていのかわかりませんが、少なくとも、国際社会の良識ある人々は、こうした北朝鮮の見え透いた演出には、うんざりしているのではないでしょうか。