時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

空港外資規制の基準案

 我が国の空港外資規制については、対日投資への影響を考えて、今国会では法案には盛らず、一先ずは見送りとなるそうです(本日付日経新聞朝刊)。現在、EUは、政府系ファンドの基準づくりを進めているそうですが、空港施設に関する外資規制の議論もまた、この問題に通じていると思うのです。

 何故ならば、空港外資規制への反対の最大の理由は、外国の政府系ファンドによる投資によって、空港利用が外国政府にコントロールされるのではないか、ということが懸念されているからです。つまり、一般の投資家ではなく、政府系ファンド、というところに、この問題のネックがありそうなのです。このことを考えますと、空港外資規制の基準として考えられるのは、

1.民間の投資ファンドや投資機関には開放する。
2.政府系ファンドの場合には、相手国が同様の措置をとっている場合にのみ許可する(相互主義)。
3.我が国との間に、領土問題などの国際問題を抱えている国の政府系ファンドによる投資は認めない。
4.有事の場合には、日本国政府の使用許可命令に従うことを投資契約に加える。
5.政府系ファンドの株保有率を、一定の%以内に制限する。

 などが考えられます。この問題が揉めるのは、投資の対象が空港という公共性の高い施設であることに加えて、投資する側も政府系ファンドが予測されるため、国家対国家の関係に至る潜在的な可能性を秘めているからと言えそうです。ですから、最悪の事態に至らぬように、最初に、衝突の原因を除いておくことが重要なのではないか、と思うのです。