時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

外貨準備を財政再建に活用できる?

 遂に、日本国の外貨準備高が、日本円で103兆円に上る1兆ドルを突破したそうです。外貨準備は、米国債などによって運用されていますが、その収益を、悪化する一方の財政の再建に活用する方法はないものか、と思うのです。

 そのための第一歩は、財政法の改正です。現状では、外貨建ての収益を、直接歳入に組み込むことはできません。たとえ、政府系ファンドを設立したとしても、FB(政府短期証券)を発行して民間の金融機関から円を調達しない限り、財政に用いることができないのです。現在、FBを発行せず、直接外国為替市場で円を調達する方法も検討中ですが、この方法ですと、政府が円高要因をつくることになりますので、経済へのマイナス影響という問題があります。そこで、外貨建てであっても、予算として使うことができるようになれば、浮いた予算を国債の償還に使えますので、財政再建に大きく貢献することになるかもしれないのです。外貨準備の運用益は、年間3兆円とも4兆円とも言われますので、相当な財源であることは確かです。
 
 ただし、昨今の埋蔵金論争において、これはない、と言う結論に達したとしますと、FBの発行によって、運用益は全て一般会計に繰り入れられ、既に予算の一部として使われてしまったことになります。もし、そうならば、政府は債務を積み増していることになりますので、残念ながら、この案は、幻に終わってしまうことになりましょう。