時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本国は中国に対して断固非難を

 福田政権は、発足当初より親中派と目されてる一方で、人権や命の尊重については高い関心を示してきました。昨日、チベットで発生した抗議の暴動に対し、中国が武力で弾圧を行ったことは、福田政権に対して、中国を優先するのか、それとも、人権を優先するのかの二者択一の選択を迫っているとも言えましょう。

 私見としましては、戦後、長期にわたってチベットウイグル自治区で弾圧行為を行ってきた中国に対して、現政権が、融和的な政策をとること自体がそもそもの問題であるのですが、日本国として、ここは、やはり、チベット民族自決の権利とチベットの人々の人権を守るべく行動すべきなのではないでしょうか。国家や民族の枠組みに対して懐疑的な意見も聞かれますが、この枠組みなくしては、大国の帝国主義覇権主義から身を守ることはできません。国家と国家の間の線引きこそが、侵略という行為を防いでいるとも言えるのです。この意味において、国民国家体系は決して古いものではありませんし、中国が、前世紀の遺物とも云える行動パターンをとる現状にあっては、なお更のことです。力が支配する国際社会を、新しい時代の互恵主義としてもて囃すのは、あまりにも欺瞞に満ちていると言わざるを得ません。

 誰もが、自分の身かわいさに、危険を回避して融和政策をとるとしますと、覇権主義は牙をむくことになります。日本国、並びに、日本人は、短期的な利益ではなく、長期的な展望と覚悟をもって中国を非難し、北京オリンピックのボイコットを含めた厳しい対応に踏み込むべきではないか、と思うのです。