時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北京オリンピックを楽しめますか?

 先日の中国支配に対するチベットの抵抗運動に際して、北インドダラムサラで亡命政府を率いるダライ・ラマ14世は、北京オリンピックのボイコットを国際社会に呼びかけることはしませんでした。しかしながら、中国政府の思惑どおりに、難なくオリンピックが開催されたとしても、北京オリンピックを心から楽しむことはできるのでしょうか。

 少なくとも、私は、到底楽しむという境地に達することはできません。もしかしますと、私のみがこのように感じるのかもしれませんが、チベットの犠牲を思いますと、どうしても良心が痛んで、スポーツの祭典として浮かれた気持にはなれないのです。もちろん、オリンピックは平和の祭典であって、古代ギリシャの時代では、戦争状態にあっても、この時だけは、双方とも矛を収めたと言います。しかしながら、チベットは、オリンピックに代表を送ることさえできず、中国政府による一方的な支配と弾圧の対象となっているのです。

 ダライ・ラマ14世ご自身は消極的かもしれませんが、オリンピックに参加予定の諸国は、自らの判断で北京オリンピックをボイコットすることはできます。もちろん、出場予定の選手たちや楽しみに待っていた人々の気持ちは察して余りあるのですが(北京以外で種目ごとに分散して開催と言う案も指摘されている・・・)、チベット問題は、アジアの名誉にかけても看過できないと思うのです。