時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

チベット弾圧を非難しない公明党の偽善

 公明党とは、創価学会という仏教系の新興宗教団体を支持母体とする政党であり、常々、人権の擁護や弱者救済を唱えてきました。チベットで発生した弾圧事件に対しては、同じ仏教徒なのですから、殊更に強い非難と強硬な措置を主張してもよさそうなものです。しかしながら、同党からは、一向に、北京オリンピックのボイコットや胡主席の来日計画のキャンセルといった声は聞こえてきません。

 これでは、公明党のこれまでの主張が、如何に見せかけであったのかを自ら証明するようなものです。そもそも、公明党は、憲法で定められた政教分離の原則に違反している疑いが濃厚であり、政党としての存在に疑問符が付きます。このため、同党は、批判をかわすために、つとめて平和主義や人道主義を強調してきたとも言えましょう。ところが、今回の事件では、平和主義のはずが中国政府の暴力の行使に目をつむり、人道主義のはずが人権の痛ましい蹂躙に知らん顔を決め込んでいるようなのです。

 いざという時には、及び腰なのですから、学会員以外の国民が、信頼するに足る政党と見なすはずもありません。政教分離の原則に鑑みても、公明党は、既に、その存在理由を失っていると思うのです。