時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政府が嘘を吐くと国威が低下する

 チベット弾圧について、中国政府は、連日のように自己弁護と事実隠蔽に終始した談話を発表しています。ところで、嘘であることが明白な嘘は、自白以外の何ものでもありません。しかも、中国政府は、報道統制を行うことによって、自らが嘘を付いていることを行動で証明さえしているのですから。

 中国は、国家権力によって、嘘を真に変えることができると考えているのでしょう。しかしながら、個人の道徳レベルでも同じように、嘘吐きは泥棒のはじまりであって、結局は、誰からも信頼されなくなります。国家であるからといって、この道徳律から逃れることはできないのです。やがて、中国は、国際社会から爪弾きにされ(同じメンタリティーのギャング仲間が集まるかもしれませんが・・・)、信頼の置けない危ない国家という芳しくないレッテルを貼られることになりましょう。

 中国は、昨今、懸命に国民に愛国心を植え付けつべく教育を行ってきたようですが、真の愛国者は、未だ現れないようです。本物の愛国者ならば、自国が嘘吐き国家となり、そのために国威や名誉を失うことに我慢がならないはずだからです。国家のレベルで嘘を吐くことがまかり通れば、中国国民の道徳レベルも、これに合わせて低下することは当然なのかもしれません。そうして、嘘を吐かなければならないことをする政府を戴いていることこそ、中国国民の不幸の最大の原因なのです。