時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

人権擁護だけでは救えないチベット

 中国政府によるチベット弾圧に対する抗議運動は、人権擁護団体が主たる活動主体ということもあって、人権問題としてのみ扱われる傾向にあります。しかしながら、人権擁護だけでは、チベットは救われないのではないか、と思うのです。

 人権擁護活動とは、すべての人々の生命、身体、財産の保護と自由の尊重を求めるものであって、民族自決の権利を問うものではありません。このため、もし、中国政府が、チベット人の人権を擁護する政策に転じ、中国人の公安部隊がこの役割を果たせば(可能性は極めて低いのですが・・・)、チベットの領有権には関係なく、これで解決ということになりかねないのです。しかしながら、本当に、人権の擁護だけで、チベットの人々を救うことができるのでしょうか。チベット人の個人としての基本的な権利や自由は守られたとしても、チベットへの漢民族大量移住政策や地下資源収奪政策を止めることができません。これでは、チベットの人々の権利や利益が本当に守られたことにはならないのではないか、と思うです。

 人権擁護の限界を考えますと、やはり、チベットの主権回復を急ぐ必要があります。時間が経過すればするほど、チベットの地で、中国政府による取り返しのつかない破壊と植民地収奪が進むからです。人権擁護と並んで、国際社会は、「17条協定」の無効性を問い、チベットの主権回復を強く訴えるべきなのではないでしょうか。

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