時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

現代では嘘は百回繰り返しても実にならない

 中国政府は、どんな嘘でも百回繰り返えせば、実、つまり事実になると、今でも信じているようです。権謀術数が渦巻く歴代王朝の歴史を振り返れば、中国人が、政治手段として”嘘”の上塗りを常套手段としたことは理解に難くありません。しかしながら、現代にあっては、この手法は、もはや通用しないのではないでしょうか。

 それはどうしてかと申しますと、現代には、昔とは違って、格段に優れたメディア装置や記憶媒体があるからです。記録を人間の記憶や筆記に頼っていた時代にあっては、記憶は日々薄れてゆきますし、また、後から記録を書き換えることもできます。ですから、嘘も百回繰り返せば、あるいは、それが真実として信じられたこともあったことでしょう。しかしながら、現代という時代では、事件そのものを映像に映して保存することができますし、また、メディア網を通じて瞬時に情報が世界各地に伝達されるのです。こうした時代にあって、政府が、権威を笠に着て事実と異なる発表をしようとも、映像を見たり、直接の目撃証言に触れた人々を騙すことはもはやできないのです。むしろ、嘘がばれて、権威は失墜、ということになりかねません(国内的には通用するのかもしれませんが…)。

 メディアが発達した時代にあって、なおも中国政府が、嘘つき作戦が有効である信じて繰り返しているとしますと、これはもう、過去の遺物が現代に亡霊として現れているとしか、言いようもありません。中国は、時代認識から学ばなければならないのではないか、と思うのです。

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