時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

フィリピンの中国提訴-中国に対しては”法の支配包囲”

 本日の新聞記事によりますと、フィリピン政府は、国連海洋法条約の仲裁裁判所に中国を提訴するそうです。日本国の対韓竹島提訴と同様に、単独提訴の形態となるのでしょうが、中国の最大の弱点は、法的根拠の欠如ですので、フィリピンの打った一手は、中国を追い詰めることになるかもしれません。

 領有権とは、いわば、国家の領土に対する所有権とも言えるものです。近現代以降、領有権に関する国際法も整備されるようになり、領土を正当に領有するには、領土画定条約などの法的根拠を要するようになりました。”侵略”という概念も、法とともに誕生したのであり、かつてのチンギス・ハンのような領土拡張は、今日では、もはや不可能となったのです。ところが、共産主義では、私的所有権が否定されているためか、中国政府は、他国の権利というものについて、極めて意識が低いのです。21世紀に至っても、法的な根拠なく周辺諸国を征服できる、つまり、他国の権利を一方的に侵害してもよいと信じているとしますと、時代錯誤もよいところなのです。

 領土や経済水域などに関する紛争の解決が、法の支配の下で行われるようになれば、アジアは、安定の時代を迎えます。安倍首相は、東南アジア訪問に際して、海洋秩序における法の支配を強調しましたが、日本国もまた、中国に対する軍事包囲網に加えて、法の支配包囲網の形成に努めるべきと思うのです。

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