時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

法隆寺さんと唐招提寺さんの辞退を願う

 昨日行われた長野の聖火リレーにあって、善光寺さんが、中国政府から宗教弾圧を受けているチベットのことを慮って、出発地点となることを辞退されました。ところが、来月予定されている胡主席の訪日に際して、奈良の法隆寺さんと唐招提寺さんにおいて、福田首相との面会が設定されているというお話があるようなのです(未確認情報なのですが…)。もし、このお話が、本当のことであるとしますと、さまざまな面で、日本国は、大きな損失を被ると思うのです。

 第一に、日本国の仏教界に対する国内外からの信頼が著しく低下します。報復を覚悟で善光寺さんが辞退に踏み切ったにもかかわらず、奈良のお寺がチベット弾圧の張本人である胡主席を迎え入れるとしますと、せっかくの善光寺さんの行為が水の泡となっていまします。

 第二に、誰もが尊敬する聖徳太子さんや鑑真和尚の偉業に傷を付けることなりかねません。特に、聖徳太子さんは、”日出るところの天子が、日の没するところの天子に致す、つつがなしや”の一文を以て、中国の華夷秩序を拒絶したことで知られています。その聖徳太子さん縁のお寺で、中国のトップと、殊更親中派と目されている福田首相と会見するとなりますと、まるで、日本国自身が、7世紀の偉業を否定しているような印象を与えかねません。

 第三に、チベット弾圧で国際的な非難が高まっている中国に対して、日本国が、それを許容しているとする、中国側の演出に協力することになります。共産主義プロパガンダ大国であることを知りながら、何度も協力しているようでは(騙されているふり?)、知性と理性を疑われてしまいそうです。

 第四に、外交上の演出の舞台に寺院を用いることは、政治による宗教利用となりかねません。相手国の中国は、宗教を否定どころが抹殺していることを考慮しても、俗界の首脳が会談する場所として、これほど似つかわしくない所はありません。

 日本国は、自由主義の国ですから、辞退する自由があります。以上の理由から、法隆寺さんと唐招提寺さんには、ぜひ、胡主席の訪問をキャンセルしていただきたと思うのです。

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