時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

多民族共生社会は無理な計画

 新聞報道によりますと、文部科学省の調査の結果、外国人の児童生徒数が年率13%の勢いで増加し、日本語指導が足りていない状況が判明したと言います。この状況に対応するために、同省は、日本語教育の充実を急ぐそうですが、そもそも、多民族共生社会には、無理があると思うのです。

 もし、「1000万人移民計画」が主張するように、多民族共生社会を目指すとしますと、世界各国から異なる言語をしゃべる人々が日本国に移民することになります。このことは、日本語教育を行うために、外国語で日本語を教えられる教師を大量に養成せねばならず、しかも、移民の人々が使っている全ての言語を対象に行われなければならないことを意味しています。現在では、ポルトガル語スペイン語、および、中国語が全体の7割を占めるそうですが、出身国が分散すればするほど、日本語教師の養成にはコストがかかることになります。

 また、今までのところ、外国人の人々は集住しているため、集住地の学校での重点的な対応ですみますが、移民の人々が、今後、分散して居住するようになり、それが、全国各地に広がりますと、日本語教育も全国レベルで行う必要が生じてきます。しかも、多数の言語に同時に対応するとなりますと、これもまた、膨大なコストのかかる事業となります。

 日本語教育の効率化を図るために、インターネットを利用した遠隔地教育も考えられるのですが、日常的なコミュニケーション能力の育成には難があります。自民党の研究会は、「1000万人移民計画」を覚悟があれば簡単にできると考えているようですが、教育や社会保障などのフォローを含めますと、かなり無理のある政策なのではないか、と思うのです。

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