時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”安心”よりも苦難に立ち向かう姿勢を

 福田政権の基本的なスタンスは、”五つの安心プラン”に見られますように、”安心”にあるようです。しかしながら、内外の情勢に鑑みれば、現在、国民が必要としているのは、迫りくる苦難に対して、国民とともに立ち向かい、果敢に乗り越えようと鼓舞する政治家なのではないか、と思うのです。

 どんなに政府が、国民に対して安心を連呼しても、昨今の石油価格や穀物価格の高騰を受けた物価上昇、企業業績の悪化、アメリカ経済の景気後退、中国のバブル崩壊の兆し、北朝鮮の核放棄の不透明性、竹島問題の混迷化など、内外を見渡して、国民が安心できる材料などほとんどありません。むしろ、グローバルなレベルで発生した地殻変動が、政府と国民に試練を与えようとしているのです。このような情勢で、安心ばかりを唱えていても事態が好転するわけではなく、また、政府が、すべての危機に対応できるわけでもありません。安心とされる社会保障や医療制度も、内外に混乱が起きれば、まったくあてにならなくなるのですから。

 危機の時代の政治家の役割とは、国民に対して、正直に現状を語り、準備と覚悟を促すことではないかと思うのです。危機とは、政府と国民の双方の努力によって、はじめて乗り越えることができるのではないでしょうか。

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