時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

エジプト国民の憤慨は人類共通

 エジプト情勢が混迷を深める中、ムバラク大統領は、即時の退陣を拒否したそうです。その理由が、”安定”ということなのでしょうが、国民を弾圧する中国政府の言い分と同じです。

 そもそも、エジプト国民の怒りは、誰もが理解できるものです。長期独裁体制による大統領による権力の私物化、政府の汚職と腐敗、不正選挙、言論弾圧、政治的ライバルの排除・・・など、数え上げたらきりがありません。こうした手法を駆使して国家が”安定”しているならば、利権に与る一部の特権者を除いて、国民にとりましては、この状態は”生き地獄”というものです。実際に、エジプト以外でも、政治にまつわるこうした問題は、どの国も抱えており、日本国とて、程度の差はあれ、他人事ではありません。しかも、9月に予定されている大統領選挙では、息子のガマル氏に継承させようとしたのですから、エジプトには、世襲による”ムバラク王朝”が誕生するかもしれなかったのです。

 ムバラク大統領は、米記者のインタヴューに答えて、”国民に何と言われようが構わない。今私にとって大切なのは、私の国エジプトだ”と述べたと報じられています。邦訳ですので、正確なニュアンスは分かりませんが、この言葉に、ルイ14世の”朕は国家なり”が思い起こされます。ムバラク大統領の国民軽視と国家の私物化こそ、今日のエジプトが混乱に陥った最大の要因ではなかったかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>