時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

独禁法という新たなチャイナ・リスク

 昨日、本ブログで、パナソニックの電池事業の中国企業への売却事件の背後に、中国の競争当局の関与が指摘されている事件に関する記事を掲載しました。もし、事実であるならば、独禁法の適用は、新たなチャイナ・リスクとなる可能性が高いのではないかと思うのです。

 これまで、中国市場の問題点として、市場経済に必要な法整備が遅れていることが指摘されてきました。ようやく中国でも、独禁法を始め、市場関連の法律が制定されるようになったのですが、ここにきて、当局による恣意的な法運営と救済制度の欠如という問題が持ち上がってきているようなのです。例えば、中国市場で市場独占率や寡占率が高い企業は、日本企業に限らないはずです。にもかかわらず、狙い撃ちにさらたかのように、将来、有望とされる分野の企業が、是正措置を強要されるとなりますと、恣意的な運用を疑わざるを得ません(中国は、ルノー・日産事件でも明らかになったように、EV関係の技術の獲得を狙っている・・・)。さらに問題なことは、中国には、企業が、当局の措置に不満があったとしても、他の先進国のように、不服審査や処分の違法性を裁判所に訴えるルートがないらしいことです。これでは、一方的に、当局の命令に服さざるを得なくなります。

 中国市場に進出している企業は、この独禁法リスクを認識し、競争当局から市場シェアと技術移転を強要されないよう、中国市場でのシェアに注意を払うべきですし、日本国政府は、法の運営と救済措置について、中国政府に是正を求めてゆくべきと思うのです。

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