時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「30万人留学生計画」で日本の大学はウィンブルドン化?

 保守党であるはずの自民党は、「30万人留学生計画」や「1000万人移民計画」など、およそ保守党とは思えない改造主義的な政策を次々と打ち出しています。本日は、「30万人留学生計画」が実行に移された場合の、大学の将来像を予測してみたいと思います。

 この計画は、もしや、47%の定員割れが報告されている私立大学を救済するためにあるのではないか、とも思ったのですが、重点校を指定するらしいので、そうではないのかもしれません。しかしながら、この計画には、どうにも納得しがたい点があるのです。

 第一に、留学生の受け入れとともに、教員の方も、外国人を採用するということです。つまり、講義する側も、講義を受ける側も、両方とも外国人であり、しかも、外国語ということになります。こうなりますと、日本の大学は、ウィンブルドン化し、場所を提供するだけの存在になります(日本語も習得できなくなる・・・)。

 第二に、外国人による外国語の授業となりますと、日本人学生の方が、反対に、留学生の立場になってしまいます。つまり、充分な語学力がありませんと、日本人学生の方が講義についてゆけなくなってしまうのです。

 第三に、日本の大学が、日本発の先端的な研究を進める場として、機能しなくなる可能性もあります。優秀な外国人研究者を日本に招くにはコストがかかりますし、一つ間違えますと、欧米の研究機関との間に研究レベルに大きな差が生じるかもしれません。

 「30万人留学生計画」には、この他にも多くの問題点があるのですが、日本の大学が、ウィンブルドンのように、場を貸すだけの存在になってしまっては、莫大な財政支出(国民負担)をしてまでこの計画を行う意味がありません。ウィンブルドンのような学問の最高峰となるならまだしも、レベルの低下さえ心配されるのですから、やはり、この計画は、考え直した方が良いと思うのです。

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