時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北京オリンピック開催の逆効果

 チベット弾圧や軍拡を続ける中国が、”平和の祭典”としてのオリンピック開催国に相応しくないことは明らかなことです。しかしながら、昨日の開会式のように、あからさまに中国という国の体質を映し出す映像が全世界に向けて放映されたとしますと、これもまた、当局の思惑に反して、中国のイメージ・ダウンという逆効果があったのではないか、と思うのです。

 特に、映像を見る者を唖然とさせたのは、胡主席との各国首脳との”謁見”のシーンでした。さながら、皇帝よろしく、広間の中央に立つ胡主席に対して、各国首脳が一列に並ばされて、一人づつ握手を求めるという構図が出来上がっているのです。アジア諸国の人であれば、この映像を見てまず頭に浮かぶのは、、華夷秩序における朝貢のはずです。

 さらに、カメラは、鳥の巣スタジアムに座る各国首脳の映像を映したのですが、これにもまた、驚きを禁じえませんでした。招待客のはずの各国首脳たちは、一般席に所在無く座らせているようなのです。もしかしますと、すべての席が、同じつくりになっているのかもしれませんが(最後まで見ませんでしたので、胡主席がどのような席に座っていたのかは、確認できませんでした)、冷遇されている印象を与えるに十分であったのです。

 もちろん、人海戦術さながらの演出にも全体主義国家の”マス・ゲーム”的な怖さを感じさせはしたのですが、中国政府が、これらの映像が、海外の人々にどのような受け取られるのか、予測しなかったようです。少なくとも、中国の怖さを世界に向けて発信したことは、中国をよく知らない世界中の人々にも、有益な警告になったのではないか、思うのです。

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