時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

南オセチア侵攻と国連の限界

 日本国では国連信仰が強く、あらゆる国際紛争は、国連によって解決されると信じる人々が多く存在しています。憲法第9条もまた、国連への依存が背景にあります。しかしながら、ロシア軍による南オセチア侵攻を見る限り、やはり、国連は、いざという時には機能しないのではないか、と思うのです。

 もし、国連が、理想通りに機能するならば、安保理が即座に開かれ、まずは、侵略行為であるか否かの判断がなされることになります。しかしながら、南オセチアの侵攻に対しては、それが、民族独立運動に関連していることもあって、何らの決定もできませんでした。つまり、国連は、イラククウェート侵攻のような一方的な侵略ではなく、民族独立運動や領有権問題が絡む問題については、”侵略行為”の決定を下すことはできないと考えられるのです。しかも、常任理事国が当事国である場合には、拒否権の発動がありますので、お手上げということになります。

 安保理が”侵略”を決定できない限り、軍事的な行動がとれるはずもなく、結局、国連は動けないことになります。日本国の安全保障を考えます時にも、この現実は、しっかりと認識しておく必要があるのではないか、と思うのです。

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