時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

タリバンは無慈悲

 昨日伝えられたアフガニスタンにおける邦人拉致事件は、無事解放との報から一転し、まことに悲しい結果となってしまいました(まだ、NGOの方が確認した段階ですので、一縷の望みはあります・・・)。犠牲となられた方は、NGOに所属し、現地で農業の技術指導にあたられていたと聞きます。イスラム原理主義とは、かくも無情な人々なのか、と驚きを禁じえません。

 かつてアフガニスタンタリバンが政権を握っていた時、当地では、想像を超える政策が行われていました。イスラム神学校における男子教育、女子の教育からの排除、女性の公職追放、残酷なイスラム刑法の実施、などなど。しかも、結局は麻薬栽培を容認し、それを、資金源にさえしていたのです。これらの政策は、アラーの神の名の下で行われたのですが、全知全能の神は、こうした行いを許すのでしょうか。正当なイスラム神学者の中には、タリバンを批判する人もあり、すべてのイスラム教徒が原理主義者を支持しているとも思えません。これでは、イスラム教に対するイメージは、さらに悪化することになりましょう。

 少なくとも、この痛ましい事件で明らかになったことは、アフガニスタンを理解し、おそらく、イスラム社会にも溶け込もうとした方であっても、タリバンは、容赦なく銃口を向けたということです。現地の人々に貢献に、骨を埋める覚悟で行かれたことを聞くにつけ、この事件は、NGOの方々にとっても、そうして、イスラムの人々にとっても、あまりに痛手となる事件ではなかったか、と思うのです。

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