時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政治と経済に引き裂かれる国家

 近年に至って、はっきりしてきたことは、国家が、政治と経済のはざまで引き裂かれそうになっていることです。この現象は、我が国のみに限ったことではなく、すべての国に共通の問題になりつつあります。

 それは、安全保障を担う政治的な同盟の枠組みと、繁栄の基盤となるべき経済関係の枠組みが、大きく”ずれ”てきたことです。80年代以降に進展した市場のグローバル化は、ロシアや中近東の資源大国の立場を強化しましたし、また、巨大な人口と労働力を抱える中国の躍進をも促しました。そうして、様々なルートを通して、先進諸国とこれらの国々は、経済関係を深めていったのです。しかしながら、経済関係の多角化グローバル化は、安全保障を約束するものではありませんでした。むしろ、これら覇権主義国の軍事力の強化をもたらし、逆に、政治的な意味においては、自国の安全保障を脅かすことになったのです。

 福田首相の辞任により、日本国の政治は、再び混迷にむかうことになりましたが、よくよく自国の置かれている状況を見極めませんと、政治と経済の間にに引き裂かれ、沈没してしまうかもしれません。次期首相には、賢明な判断力を持った方が就任されるよう、願うばかりです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>