死刑廃止と靖国問題のシンメトリー

　死刑廃止と靖国神社の分祀問題、一見、全く関係のないテーマのように見えますが、この両者は、シンメトリーを構成しているのではないか、と思うのです。

　なぜならば、死刑廃止論者は、生きている人々に最大限の寛容を求める一方で、A級戦犯の分祀論に反対する人々は、死者に対する最大限の寛容を求めているからです。これは、伝統や宗教観の違いから生れた相違なのかもしれません。

　自らの意思に基づいて人の命を奪った人に寛容であるよりも、死者に対して寛容である方が、よほど社会の安定にも、人間性にもかなうと考えるのですが、いかがでしょうか。たとえ地獄に落ちた魂でも、生きている人々が憐れみ鎮めることも、また一つのあり方と思うのです。

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