時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

成田闘争はやはりおかしい

 成田闘争を大臣が”ゴネ得”と表現したため、ようやく解決に向かっている矢先の発言として、千葉県の堂本知事は、苦情を申し入れたそうです。それでは、左翼団体による成田闘争が正しい行為であったのか、と言いますと、決してそうとは言い切れないと思うのです。もちろん、住民に対する説明不足や一貫性のない態度などは、政府の側の落ち度ではありましょう。しかしながら、成田闘争には、おかしな側面が非常に多いのです。

 第一に、そもそも、私有財産制の否定や政府の強力な介入を是認している左翼勢力が、私権を盾に用地買収に応じないこと自体が矛盾に満ちていますし、自由主義国家であるからこそ、用地買収と国家補償の問題となったとも言えます(社会・共産主義国では、有無も言わさず徴用される・・・)。

 また、第二に、成田闘争には、国際インターナショナルの日本支部など、外国勢力がバックにある組織も参加しており、明らかに日本国の国益を害する意図がありました。つまり、成田闘争には、外国からの工作活動と公安の問題が潜んでおり、国内問題を枠を越えていました。

 第三に、”ゴネ得”という側面も全く否定はできません。実際に、補償金を目的として活動に参加した集団が存在していたために、反対派同士の暴力事件にまで発展しています。

 中山大臣の発言が批判的に報道されたことにより、与野党から辞任を求める声もあがっています。しかしながら、その発言の一つ一つを吟味してみますと、極めて重要な問題を提起していると考えることもできます。この発言をきっかけに、”公共の福祉”と個人の権利について考えてみることは、大変、有意義なことですし、真の解決は、甲論乙駁の議論からこそ生まれてくると思うのです。

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