時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

少数派が支配する日本国の民主主義

 民主主義国家では、通常、決定の原則として、多数決制が採用されています。ところが、現状を見ますと、どうやら、日本国では、少数派の意見が政治を左右しているようなのです。

 国籍法改正案については、どの世論調査を見ましても、80%から90%という高い率で、反対意見が圧倒的な多数を占めていました。国籍法とは、国民の要件を決める法案ですので、国民にとりましても他人事ではありません。安全保障や社会保障など、国民の連帯性に基づく政策分野は数多くあり、国民の同意なくメンバーシップが決められますと、後々、社会分裂を招くかもしれないからです。この側面を考えますと、国会が、第一に問うべきは、国民の意向であらねばならなかったはずです。

 しかしながら、国会は、国民の反対を無視して本法案を可決させてしまいました。民主主義については、少数意見の尊重が謳われることがありますが、それは、少数意見を聞き、充分に配慮した上で決定を行うべきことを説いているのであり、決して、少数者が決定してよいと言っているわけではありません。まして多数派の意見を無視することは暴挙であり、民主主義の原則に大きく反していると言えましょう。日本国の政治家の方々が、もし、選挙で選ばれさえすれば、国民多数の意見を無視してよいと考えているとしますならば、それは、大きな誤りであると思うのです。

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