時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

賃上げよりも雇用の確保を

 先日の報道によりますと、連合などの労働組合は、雇用の確保よりも賃金引上げを今後の運動の方針に据えると言います。その一方で、解雇の告知を受ける派遣などの労働者の人々は、雇用の継続を求めて街頭をデモ行進する姿も見られます。労働組合の幹部と一般労働者との間には、方針の不一致が生じているようですが、ここはやはり、雇用の確保を優先すべきではないか、と思うのです。

 世界同時不況にあって、雇用をめぐる状況は決して楽観視はできません。労働組合の団体は、世界規模で消費が冷え込み、需要が減少している現実を直視すべきなのかもしれません。無理を敷いて賃上げを要求した結果、企業の収益が悪化して倒産でもすれば、全ての従業員が職をも失うことになります。また、正規社員が自らの賃上げと権利の保護に固執しますと、非正規社員の人々の生活が立ち行かなくなり、路頭に迷うことになりかねません。この結果、雇用対策に莫大な予算を要し、その費用を賄うための増税が、さらに景気を悪化させるかもしれないのです。こうなりますと、日本国の経済は、悪循環に陥ってしまいます。

 もし、日本型の雇用制度を維持するならば、ここは経営者も最大限雇用を確保するように努力すべきなのではないでしょうか。そうして、需要の低迷には、1.労働時間の短縮、2.賃金の引き下げ、3.NO残業、4.生産から研究・開発への人員のシフト、5.技能訓練・研修の強化、6.システム全体の合理化・・・などで乗り切るべきと思うのです。不況期にあって生じた時間的な余裕を活かし、企業体質や社員の能力を強化し、合わせて不況でも売れる製品を開発できれば、次なる発展のステップになるかもしれません。

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