時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

各国の財政出動は協調か、狂気か?

 次期アメリカ大統領のオバマ氏が、90兆円に上る財政出動計画を公表したことが話題となったアメリカのみならず、日本国でも23兆円、中国でも4兆元の景気対策が発表され、欧州でもEUが加盟各国に対して積極的な財政出動を促しています。果たして、”バスに乗り遅れるな”と言わんばかりの財政出動は、国際協調なのでしょうか、それとも恐怖に駆られた狂気なのでしょうか。

 もちろん、目的を見る限りにおいては、各国の財政出動は、国際協調と映ります。世界恐慌に至らないためには、各国は協力を惜しむべきではなく、”何もしない”となりますと、無責任な国として厳しい非難を浴びそうです。しかしながら、各国とも巨額の財政出動を行いますと、国債を発行せざるを得ず、市中の資金が政府部門に吸収されてしまうことに加えて、そもそも国債の引き受け手を見つけることが難しくなる可能性もあります。特に、日本国のように、巨額の財政赤字を抱える国では、財政破綻の危険性さえあります。

 サブプライム・ローン問題に端を発した金融危機の原因は、しばしば、収益の最大化を目指して投機に走り、バブルに向けて直進した金融部門の狂気のごとき行動にあると指摘されております。現在、各国政府が競うように財政出動にひた走る姿も、いささか、この狂気に近いものを感じるのです。景気対策の額を競うのではなく、どの国もしばし冷静になり、どうしても必要な政策を見極めた上で、長期的な視点から景気対策を実施すべきと思うのです。

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