時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

公民で学ぶべきは裁判員制度ではなく法学では?

 先日、文部省が公表した高校の新学習指導要領案には、英語授業の英語化の他にも、様々な議論すべき問題点があります。その一つとして挙げられるのは、公民において裁判員制度を教えるというものです。

 そもそも、裁判員制度については国民世論からの強い反発があり、また、憲法違反の可能性もありますので、長期的な存続すら危ぶまれています。こうした将来の運命は別としましても、もし、裁判員制度を前提として教育プログラムを練り直すならば、それは、制度の説明ではなく、学校教育における法学の導入なのではないか、と思うのです。裁判員制度では、全ての国民に裁判員となる可能性があり、かつ、裁判官と同じ仕事を任されるのですから、刑法の知識は不可欠です。特に、量刑の判断については、法律の適用そのものです。むしろ、現状において、判断を行う側に、法律の知識を欠いた状況のままでこの制度が発足させることの方が、よほど、恐ろしいことと言えます。

 この案では、高等学校の授業を対象に検討されているようですが、抽選で選ばれた場合、裁判員を引き受けることが国民の義務であるならば、義務教育においてこそ、法学を学ぶ必要があります。小・中学校において法学が導入されれば、非行や校内暴力の減少という、思わぬ副産物もあるかもれません。

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