時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”多民族共生社会”の行く末

 グローバル化の掛け声とともに、”多民族共生社会”のスローガンが、政府の中からも聞かれるようになりました。しかしながら、多様な民族集団を外国から受け入れることには、何らの問題もないのでしょうか?

 移民政策には、一つの素朴な疑問があります。それは、全ての民族集団には、他の国に移り住む自由があるのか、という疑問です。戦前の日本国では、満州朝鮮半島に移住した人々が少なくなく、敗戦をもって、全ての日本人は定住先を追い出され、本土に帰還することになりました。これは、軍事力を背景とした領域の拡大が、”侵略”と認定されたからです。それでは、軍事力を用いさえしなければ、外国に自由に定住することは許されるのでしょうか。例えば、日本人は、外国、特に移民国家以外の国家に対して、移民として受け入れるよう、要求することはできるのでしょうか。おそらく、それは、無理なお話となりましょう(国際法においても、国民を決める権利は国家にある・・・)。しかしながら、何故にか、移民国家ではないにも拘わらず、日本国の側は、全ての民族に対して(もしかしましたら、特定の民族?)、自国を開放しようとしているように見えるのです(民族自決権の否定?)。

 ”多民族共生社会”とは、自国を、他の全ての民族に対して開放することなのでしょうか。もし、そうなりますと、”日本人”という民族は、日本国という固有の国家を失うことになるのではないでしょうか。

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