時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ブログ書き込みで名誉棄損なら基準を

 昨日に続き、ブログ炎上により18人の人々が名誉棄損罪で摘発された事件について、書いてみようと思います。今日のテーマは、ブログ書き込みによる名誉棄損罪の基準です。

 名誉棄損罪とは、判決も迷走しているように、極めて判断が難しい罪の一つです。ましてや、一般の人々が、どのような事を書いたり、発言したりすれば名誉棄損罪に当たるのかを、自分自身で判断することはできません。今回の事件でも、おそらく摘発された人々は、まさか、名誉棄損罪で訴えられるとは、思いもよらなかったはずです。いわば、全く基準がなかったところに、いきなり、書類送検され、犯罪行為として摘発されたことになります。これでは、ブログのコメントを書く側にとりましては、いつ何時、犯罪者とされてしまうか分からないのです。

 ブログ炎上というぐらいですから、書類送検された18人以外にも、多くの人々が書き込みをしたはずですが、どのような基準で18人に絞り込まれたのかも分かりません(ネット・カフェなどでの書き込みの場合には、特定できないとも・・・)。例えば、(1)殺害予告などの表現、(2)煽動性、(3)回数、(4)書き込みの期間・・・といった事柄について、何らかの基準が予め設けられていれば、多くの人々も納得したかもしれません。しかしながら、それが公表されておりませんと、警察の裁量が広くなりますので、ブログへの書き込みの委縮が起きると思われるのです。

 名誉棄損罪については、公益性や事実の真偽の立証責任などをめぐり、まだまだ議論すべきことがたくさんあります。しかしながら、もし、ブログの書き込みで名誉棄損罪を適用するならば(この適用についても議論すべきなのですが・・・)、誰もが納得する基準を設け、公表しておく必要があると思うのです。

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