時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”検定”という不可解なビジネス

 財団法人・日本漢字能力検定協会が文部省の立ち入り調査を受けたことで、これまで、何の疑問も抱いてこなかった検定という制度には、おかしな部分があることに多くの国民が気付くようになりました。最近、様々な分野で”検定ブーム”が起きていますが、ここで、あらためて検定について考えてみるべきなのかもしれません。

1)検定を支える権威とは
 検定とは、ある分野における知識や能力を測り、それに、お墨付きを与えるものです。当然に、お墨付きを与える側には、誰もが信頼を寄せる権威が備わらなければならないのですが、今回の事件で明らかとなったことは、検定機関は文部省が推薦している一機関に過ぎずないことです。文部省が直接に検定結果にお墨付きを与えているわけではありませんので、民間における信頼性のみが検定結果に価値を与えていることになります。

2)検定は独占事業なのか
 漢字以外にも検定はたくさんありますが、幾つかの検定機関が併存しているというお話は、あまり耳にしません。英語には、英検の他にTOEFLTOEICもありますが、日本国内の検定機関は、英検のみと思われます。もし、誰もが許可さえ受ければ検定機関を設立できるならば、他に検定機関が現われてもよさそうですし(独禁法違反?)、もし、独占事業ならば公的機関が実施した方がよい、ということにもなりましょう。

3)検定機関は家族経営が許されるのか
 検定機関とは、公益法人として認可されているそうですが、漢検の協会は、理事長の親子が事業の実権を握っていたと報じられております。公益性の高いことを理由に税の減免措置を受けているにも拘わらず、不透明な支出が多いのも、家族経営、あるいは、協会の私物化に起因するとも言えます。

 検定が、実社会において、個人の能力の評価に用いられていることを考えますと、より、信頼性の高い検定システムに向けての取り組みが必要なのかもしれません。

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