時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国の借金は束縛を受けること

 G20の開催を前にして、アメリカ政府の財政出動政策に日本政府も賛意を示し、3兆円程の追加景気対策を検討すると報じられています。しかしながら、国が借金をするということは、他者に対して債務を負い、束縛を受けることでもあることを、忘れてはならないと思うのです。

 アメリカ政府でさえ、外国政府による米債の大量保有が、外交政策などにマイナス影響を与えることが懸念されており、政府の借金が、政府の手足を縛ることを示しています。日本国の場合には、国内消化が中心とも言われていますが、それでも、償還と利払いにかかる費用は莫大です(利払いのみで9兆円)。今後、国債を発行すれば、さらに予算に占める国債費が拡大し、政策予算を浸食してい行くことになりましょう。増税を行えば、消費マインドも冷え込むことになるのですから、これ以上の借金を負わないよう、政府は、最大限、努力すべきなのです。

 おそらく、政府が、早々と追加景気対策を表明した背景には、国際圧力があったのでしょう。もし、どうしても3兆円を支出しなければならないならば、これは、すべて将来の産業を支える高度先端技術か、防衛技術の開発に投資すべきと思うのです。グローバル化の時代とは、常に先端を走るか、あるいは、競争力のある分野を持たなければ、競争に負けることを意味してます。せめて、財政出動を将来への投資としなければ、借金によって首がまわらなくなるのではないかと、また日本国は身動きができなくなるのではいかと、危惧するのです。

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