時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

G20はWTOの二の舞に?

 BRICs諸国を始めとして、新興工業国の存在感が増す中で、G7ではもはや問題解決には力不足とする認識から、今日では、参加国の枠組みを拡大したG20が開催されるようになりました。経済における主要国の代表が一同に会するという意味では評価されるものの、一つ間違えますと、WTOの二の舞、つまり、何度会合を繰り返しても、合意を形成できないという状況に至る可能性も否定できません。

 何故ならば、新聞にも報じられているように、G20では、先進国対先進国、先進国対新興国、ならびに、新興国新興国の対立が既に見えてきているからです。WTOを舞台とした交渉でも、加盟国の増加によって複雑化した対立軸が、合意の形成の最大の障害となってきたことを考えますと、G20もまた、同じ運命を辿る可能性があります。しかも、中国のように、市場経済の経験が浅く、制度も十分には整っていない国も発言力を強化するとなりますと、G20が、IMFを含めた健全な国際経済秩序の形成を上手に行うことができるのか、疑問にもなります。

 如何なる組織も、参加者が増えれば増えるほど、纏めることは難しくなります。参加者の数と合意の形成は、反比例するのです。もっとも、合意に至らない方が望ましい場合もあり、国際会議の仕組み造りは、必ずしも容易ではありません。G20へと拡大するに先立って、まずは、こうした問題について、議論を行っておくべきであったと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>