時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国の核実験は自ら正当性を否定する

 楼蘭とは、かつてシルクロードに栄えた西域の王国の名であり、白い羽を髪に挿した麗人のミイラが発掘されたことで知られています。その端正な顔立ちは、この砂漠の麗人がコーカサス系の民族の人であったことを物語っていました。本日の新聞によりますと、その楼蘭でも、中国は3回もの核実験を行い、被害は、死亡者だけで19万人にものぼったというのです(産経新聞本日付朝刊)。

 ウイグル自治区と呼ばれる地域には、幻の楼蘭王国の遺跡が示すように、漢民族ではない遊牧民族系の人々が多く居住してきました。このため、東トルキスタン独立運動も盛んであり、中国政府から見ますと、不穏な地域と見なされてきたようです。このことは、チベットでの核実験も報告されているように、中国政府は、抵抗運動の起きている地域を狙って、核実験を行っていることを示唆しています。実験による被害は、過去の被曝のデータを分析すれば予め予測できるものであり、それにも拘わらず、何らの避難や防御の措置を採らなかったとしますと、政府は、意図的に住民の被害を黙認したことになりましょう。これは、”未必の故意”に当たりますし、核実験の名を借りた抵抗運動に対する弾圧ともとれます。

 中国の核実験は、人命を軽視した非人道的な行為であることは言うまでもありません。こうしたウィグル人住民を平然と犠牲にするような行為は、自らの統治者としての正当性を否定することになると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>