時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

漢字検定―能力判定は公益事業?

 公益法人は、その名の通り、公益性が認められているからこそ、税制上の優遇措置などを受けることができます。しかしながら、昨今、問題となっている日本漢字能力検定協会の事業を見てみますと、これは、収益性を目的としたビジネスではないかと思うのです。

 公益事業とビジネスの境界とは、いったい、何処にあるのでしょうか。この問題は、能力判定には公共性があるのか、という問題とも繋がります。確かに、医師や弁護士といった特別の知識や技術を要する専門職については、政府の管理の下で資格試験があることに、誰も疑問を抱く者はいないはずです。人命や法秩序の維持が掛かっているからです。しかしながら、個々人の能力や学力を測る事業は、公益事業に相応しいのでしょうか。もし、公益事業であるならば、できる限り検定料を低くして(実費程度・・・)、全ての人々に受験のチャンスを開くべきですし、また、試験を実施している公益法人自らが、受験用の教材や参考書を販売することも公平性を欠く行為となるかもしれません。

 漢検協会の問題は、公益事業とビジネスの境界が曖昧であるからこそ、起きるべくして起きた事件とも言えるかもしれません。こうした事件が再発しないためにも、公益法人の認定については、多くの国民が納得するような基準を設けるべきではないかと思うのです。このままでは、政府が特定の事業者に、ビジネス上の特権を与えるに過ぎなくなるのではないでしょうか。

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