時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国のネポティズム―多文化共生論の落とし穴

 多文化共生論は、”多様な意見や価値観がぶつかり合うことで活力が生まれ、イノヴェーションが起きる・・・”と説明されてきました。しかしながら、昨日、韓国で前大統領が自ら命を絶たれ、その原因が、韓国政治に特有のネポティズムによる利権のしがらみにあったと報じられるのを耳にするにつけ、この事件は、多文化共生に潜む問題点をも浮かび上がらせたようにも思われるのです。

 何故ならば、他国の文化を無条件に受け入れますと、悪しき政治文化や慣習までも国内に引き入れてしまう可能性があるからです。日本国は、アジア諸国では珍しくネポティズムが希薄であり、合理性や公平性を尊ぶ気質があると指摘されてきました。明治期にいち早く近代化に成功した要因も、こうした国民性によって説明されることもあります。一方今日では、二世議員世襲、あるいは、特定の組織に対する利益誘導策が数多く見られるところを考えますと、日本人の国民性も変質してきているのかも知れません。ただしかし、このままネポティズムの蔓延を許すことになりますと、日本国発展の基盤もまた失われることが予測されるのです。

 多文化共生の名の下における悪しき政治文化の受け入れは、この傾向にさらに拍車をかけ、日本国の政治は劣化するばかりとなりましょう。外国の良い点は見習うべきですが、多文化共生のレトリックに騙されることなく、日本国は、清潔で公平な政治を目指すべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>