時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮の核実験―NPT体制を覆う暗雲

 北朝鮮は、1993年にNPTからの脱退を宣言し、それ以降、核を交渉のカードとした脅迫外交を続けてきました。本日、二度めの核実験を実施したと報じられており、もし、北朝鮮のこの行為を咎めることを怠れば、六カ国協議のみならず、NPT体制そのものを揺るがす事態に発展するのではないかと思うのです。

 北朝鮮は、核実験やミサイル実験を大々的に行うことで、アメリカや国際社会の関心を惹き、自国に有利な合意や条件を引き出そうとしているのでしょう。しかしながら、自己の行為が、国際社会からどのように受け止められ、また、NPT体制の見直しに至る可能性があることに、思い至っていないようです。もし、北朝鮮の行為が契機となって、NPT体制が無意味であることが誰の目にも明らかとなれば、NPT体制は崩壊するとともに、北朝鮮の核保有による優位性も泡と消えることになります。核開発を脅しに使えるのは、NPT体制あってのことであることに、北朝鮮は気付いていないのです。

 アメリカのオバマ政権は、核の廃絶を訴えていますが、結局、北朝鮮に対する国際社会の選択肢とは、(1)北朝鮮の核放棄をあらゆる手段を用いて実現する、あるいは、(2)NPT体制を見直す、のいずれかになるのではないでしょうか。何れにしても、国際社会のルールに違反して、核保有国になる行為が許されないことを、北朝鮮は自覚すべきと思うのです。

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