時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

太陽政策の幕切れ

 積極的な対北融和政策で知られてきた盧武鉉前大統領が自ら命を絶たれたというショッキングなニュースが韓国から伝わった矢先、今度は、北朝鮮から二回目の核実験と短中距離ミサイル実験を行ったという報が届きました。ふと、相次いで起きた事件には関連があり、太陽政策の幕引きを意味しているように思えてきたのです。

 前大統領が死を選んだ原因は、日増しに非難の声が高まっていた汚職疑惑にあったとされています。しかしながら、北朝鮮がなりふり構わず暴走し始めたことに考えますと、もしかしますと、その真の原因は、太陽政策の失敗であった可能性もあるのかもしれません。前大統領は、在任中、親北のスタンスを維持してきましたし、北朝鮮との人脈もあったはずです。もし、北朝鮮が核実験に踏み切るという情報が前大統領の耳に事前に入っていたとしたならば、自らの政策が失敗し、しかも、周囲から懸念されていたとおり、北朝鮮を増長させる結果を招いたことを悟ったはずです。結局、自国の安全に重大な危機を与える結果となりましたので、自責の念にかられたという憶測もあながち否定できません。

 独裁者への融和政策が得てして失敗に終わることは、ミュンヘンの融和が歴史の教訓として残しております。安易な融和策が、政策決定者のみならず国家や国民にまで被害を及ぼすことを考えますと、我が国もまた、北朝鮮に対しては、厳しい制裁を以て対処しなくてはならないと思うのです。太陽政策は、盧武鉉前大統領とともに幕切れを迎えたのかもしれません。

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