時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”宣戦布告する”とは絶対言わない北朝鮮

 ”宣戦布告と見なす”という言い方は、近年、北朝鮮の常套句となっており、事ある度にこの脅し文句を繰り返しています。本日も、韓国のPSI参加に対して、この言葉を用いたようです。しかしながら、自ら”宣戦布告する”とは、絶対に言わないところに、北朝鮮の弱さが見えているようにも思えるのです。

 何故ならば、”宣戦布告と見なす”という表現には、相手に開戦の責任を転嫁するとともに、何時でもそれを引き取ることができるという逃げ道が残されているからです。自ら”宣戦布告する”と言いきってしまいますと、開戦の責任は自国にあることを宣言することになりますし、また、後戻りはできなくなります。北朝鮮としては、あくまでも”宣戦布告と見なす”と述べることで、フリーハンドを維持するとともに、脅すだけ脅して後は巧妙に逃げようとしているようにも見えます。あるいは、挑発するだけ挑発して、もし、偶発的に開戦となれば相手に責任をなすりつけ、戦争法などかなぐり捨てて、如何なる卑怯な手を使ってでも勝とうとするかもしれません。

 ”宣戦布告する”と絶対に言わない北朝鮮に、その小心と無責任な心根が見えてくるのです。

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