時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮の核実験-暴力国家相手の外交失敗の教訓

 本日、北朝鮮は、核実験を強行し、暴力国家の素顔を露わにしました。先月末には、中国もまた、射撃管制用レーダーを海自の護衛艦等に照射するという暴挙に出たのですが、こうした暴力国家に対しては、通常の外交的なアプローチは、むしろ危険なのではないかと思うのです。

 マスコミをはじめ、識者の多くは、中国も北朝鮮も、一般の国家と同様に、話し合いによる解決が可能な相手であると想定しています。しかしながら、国際法を守らず、違反行為を繰り返しているのですから、これらの諸国が”普通国”ではないことは、明白です。実際に、北朝鮮との交渉の経緯を見ましても、94年の米朝枠組み合意は反故にされ、KEDOによる押さえ込みも無意味となり、周辺諸国を交えた六カ国協議も徒労に終わっています。北朝鮮との交渉は、悉く失敗しているのです。その間、北朝鮮は、核やミサイル開発のスピードを落とすことなく、着実に核兵器の製造能力を高めてきました。この経緯は、暴力国家との話し合いや合意は、相手に時間と口実を与えるに過ぎず、完全なる失敗となることを示しています(しかも、図らずも、相手を有利にしてしまう…)。今後の対中政策についても、外交的な解決を模索しても、北朝鮮のケースと同じ轍を踏むことにもなるかもしれません。

 平和的な解決手段の文脈から、外交万能主義の意見も聞かれますが、外交の限界を認識しておきませんと、後で手痛い裏切りに合う可能性があります。歴史を振り返りましても、双方合意の上で条約や協定を締結しても、一方的に破棄された事例は、枚挙に遑がないのですから。北朝鮮との交渉は、信用のおけない暴力国家相手では外交交渉は失敗するという、教訓を残したのではないかと思うのです。

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