時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

核保有国で核軍縮条約を結んでは?

 米ロの間で、現在、核軍縮に関する新たな条約の締結に向けての交渉が、本格的に始まると報じられています。もし、首尾よく米ロ間で戦略核弾頭数やミサイル等の運搬手段の削減について合意に達することができれば、少なくとも両国の核の脅威は低減します。しかしながら、核弾頭の保有数を増やしているとみられる中国の動向を考えますと、米ロ間の合意は、相対的には核の脅威を高めることになるかもしれません。

 そこで、中国を加えた核軍縮を進める作業に取り掛かるべきなのですが、幸いにして、NPT条約(核兵器の不拡散に関する条約)の第6条には、「各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、ならびに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約する」という一文があります。非核保有国につては、東南アジアやアフリカなどの地域で非核兵器地帯条約が締結されていますが、核保有国については米ロ間の交渉があるのみで、両者の間にはバランスが欠けています。

 そこで、中国に対しても、上記のNPT条約第6条の規定に基づいて、核軍縮の交渉を行うよう国際社会が懸命に圧力をかける必要があります。一部の核軍縮では、NPTを誠実に順守している非核保有国の安全は守られませんので、NPT体制を維持する上でも必要な取り組みなのではないかと思うのです。

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