時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

アジアの時代とは何なのか

 本日もまた、ウィグルの人々の中国に対する抵抗運動が、政府当局の暴力によって弾圧されたというニュースが大きく報じられました。つい先日にも、イランにおいて改革派の抗議運動が、同じく政府当局によって弾圧されたとする記事が連日のように掲載されたばかりです。

 21世紀を迎えた頃、これからは”アジアの時代”とさかんに持て囃され、東アジア共同体論も議論されるようになりました。中国の経済的な躍進やイスラム諸国の台頭もあって、ここ数年は、それが現実のものとなったという錯覚さえありました。しかしながら、報じられたいるような国民の抗議と政府の弾圧の繰り返しがアジアの現実であるならば、それは、決して輝かしいものでも、名誉あるものでもなさそうです。目を引くのは、政府の手荒な手法と暴力による鎮圧の日常化であり、そこには、国際社会から尊敬を受けるに値するような要素は見当たりません。

 アジアの夢を描くより先に、まずは、これらの惨状を直視し、適切な行動規範を造り上げることのほうが重要なのではないかと思うのです。価値観や行動規範の合意なくしてアジアの枠組みを形成するとしますと、同じ檻に猛獣と羊が一緒に入れられてしまうことになるのではないでしょうか。

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