時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

移民政策に潜む恐怖

 1949年に中国の侵略を受ける以前には、東トルキスタンの人口の大半は、ウィグル人が占めており、その他に、かの地には、モンゴル族、カザフ族、キルギス族、漢族といった少数民族が居住していました。ところが、1950年代以降になると漢民族の入植が続き、現在では、軍人を合わせると、人口比では漢民族の方がウィグル人よりも上回っているそうなのです。

 この人口比の変化は、東トルキスタンに何をもたらしたのでしょうか。それは、政治的には、住民を通したさらなる中国への従属であり、独立運動に対する締め付けの強化でした。そうして、ついに、漢民族がウィグル人の人口を上回った時点で、両者の間には、決定的な対立が発生してしまったようなのです。1万人規模の漢民族の住民が結集し、ウィグル人に対する報復の襲撃を叫んだとき、それは、これまでの入植者の仮面をかなぐり捨てて、傲慢な征服者の顔を露わにした瞬間であったとも言えます。

 このような強圧的で搾取的な植民地支配が、現代という時代にあって許されるはずもありません。しかも、積極的な植民政策は、ウィグル人の政治的に独立する権利さえも侵食しようとしているのです。中国政府の植民政策、あるいは、移民政策が、恐るべき事態を招く可能性があることに、より多くの人々が気付くべきと思うのです。

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