時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

G8が置き忘れたもの

 昨日、イタリアのクライラで開催されていたG8が閉幕となりました。途上国を含めたG20への枠組み拡大や200億ドルの途上国支援など、一定の成果が強調されてはいるものの、このサミットには、一抹の寂しさを感じざるを得なかったのです。

 それは、もちろん、主役とも目されていた中国の胡主席が抜けたからではなく、長年、中国政府の弾圧を受けてきたウィグルの人々が起こした抵抗運動を、中国政府が武力で封じたことに対して、何らの非難声明もなかったからです。サミットは、国際社会における経済問題を話し合うために設けられた機関ですので、政治問題は別にということなのかもしれませんが、同様に改革派を武力で弾圧したイランをはじめ、北朝鮮アフガニスタンパキスタンミャンマーについては、名指しで議長総括で懸念を表明しています。中国に対してだけは、態度が全く違っているのです(国際基軸通貨の多極化については中国の主張を採りいれている・・・)。

 G8に対して失望感に似たような感覚を抱くのは、暴力を国際社会から追放すべき側が、暴力主義に屈しているような印象を受けるからかもしれません。参加各国には、公平な態度で全ての国々に接し、経済大国であろうが、悪しき行為には毅然とした態度で臨もうとする信念が欠けていたようなのです。G8は、何か大事なものを置き忘れてしまったように思われるのです。

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