時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

高速道路無料化で2兆円は本当?

 民主党マニフェストで掲げている高速道路の原則無料化について、自民党は、2兆円の予算がかかるとして批難しているようです。この2兆円という予算の見積もり、もし、本当であるとしますと、やはりこの政策は、止めた方が良いのではないかと思うのです。

 自民党が実施した高速道路の休日一律1000円制度の導入でも、鉄道やフェリー会社の収益悪化、渋滞の発生、財政の悪化、さらには、環境へのマイナス影響などが、既に問題点として挙げられています。もし、平日も含めて無料となりますと、このマイナス面がさらに倍増しそうなのです。そもそも、2兆円と言いますと、定額給付金の総額と同額であり、国民にとりましては、給付金と同額の負担増を意味します。しかも、自動車に乗らない人や鉄道を利用する人々には負担だけがのしかかることになり、利用者負担の原則にも反します。もちろん、輸送費の軽減による商品価格が下がるといった恩恵もありましょうが、原油価格が上昇傾向にあるという指摘もありますので、どこまでそのメリットが享受できるかわかりません(高速道路の利用量が増加しますと、石油の輸入量も増えることに・・・)。もし、無料化を実施するならば、まずは、現在指摘されている問題点の解決を図ってからでも遅くはないのではないでしょうか。

 同じ2兆円であるならば、将来において有望な産業に育つような部門の技術・研究開発を対象に、長期的な視野から投資を行った方が有益です。48兆円しかない歳入のうち、毎年2兆円づつ、高速道路の無料化で消えるのは、まことにもったいないと思うのです。

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