時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

危機を招いた民間人の行動

 アメリカの二人の女性記者が、クリントン元大統領の訪朝により、北朝鮮から恩赦を受けて解放されたというニュースは、個人のレベルから見ますと、喜ばしいことかもしれません。しかしながら、民間人の行動が、国家、あるいは、国際社会をも揺るがす可能性があることを、この事件は示しているとも言えます。

 情報によりますと、二人の女性記者は、北朝鮮の法律に違反して取材を行ったとされております。つまり、万が一、違反行為が北朝鮮当局の知るところとなれば、拘束されることは始めから分かっていたはずなのです。北朝鮮が、拉致事件をはじめ、常々”人さらい”や”人質作戦”を行うことは周知のことですし、最近の米朝関係の緊迫化を考えれば、自らの行動が政治的に利用される可能性があることも予測できたはずです(もちろん、北朝鮮に自由が訪れる日を願って取材を行ったのでしょうが・・・)。にもかかわらず、北朝鮮において自ら人質となるような行動をとったとしますと、それは、いささか無責任で軽率な行為であったかもしれません。

 クリントン元大統領が北朝鮮にどのような譲歩を行い、いかなる”お土産”を渡したかは藪の中ですが、この事件をきっかけとして、北朝鮮有利に物事が運ぶとしますと、その代償は、他の誰かが引き受けることになります。もしかしますと、それは国際社会かもしれず、核拡散の許容と言う恐ろし代償が待っているかもしれないのです。

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