時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

原爆の犠牲が救った命

 広島と長崎に投下された二つの原子爆弾によって、多くの方々が尊い命を犠牲にされました。本日で、64年目の原爆の日を迎えましたが、これらの尊い犠牲が救った命は、計り知れないと思うのです。

 アメリカでは現在でも原爆投下を正当と見なす世論が強く、その根拠は、終戦を早めたことで、本土決戦に及んだ場合の被害を最小にすることができたというこものです。もし、この主張が正しければ、日米両国民の多くは、原爆の犠牲によって命を救われたことになります。

 また、当時にあっても、原爆の投下に対し、アメリカ政府に道義的な責任を問う声があったことは、GHQの占領政策を比較的穏やかなものとしたかもしれません。原爆投下による良心の呵責が、それが無意識であれ、過酷な占領から日本国民を救ったかも知れないのです。

 そうして、戦後、核の恐怖が支配することで、第三次世界大戦が起こらなかったのは、一重に原爆の犠牲があってのことです。原子爆弾による惨状が広く世界に知られることで、世界大戦への引き金を引くことが躊躇われたとしますと、現在の人類の生存は、原爆の犠牲の上にあると言えましょう。

 原子爆弾の評価については様々な見方や異論があり、とかくに国家間や思想間の対立点となりがちです。しかしながら、共通して認識すべきは、原子爆弾によって犠牲となられた広島と長崎の方々が、その後の世界において、多くの人々の命を救ったということなのではないでしょうか。日本国民、そうして、世界の人々が、ともにその犠牲を心から悼む日が訪れることを祈るばかりです。

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