時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

民主党の政治主導型に潜む危うさ

 昨日、NHKのクローズアップ現代という番組で、民主党の当選議員の方々が、政治主導に向けて官庁での活動を始めたことを特集しておりました。しかしながら、この活動ぶりから、改革の背後にある危うさをも透けて見えたのです。

 番組には、母子加算の復活に熱心に取り組んできた民主党議員の方が登場していました。与党となったことを受けて、この民主党議員は、早速に厚生労働省を訪問し、母子加算の復活の折衝を始めるのですが、その論理とは、政府は、民主党マニフェストを忠実に実行すべきと言うことであり、そこには、国会議員であるという意識が抜け落ちているのです。議論を尽くして法律を作ることが国会議員の役割でありながら、行政に直接政策の実行を命じることが、議員の役割と考えているようなのです。

 民主党の構想の危うさとは、政治主導と言いながら、実のことろは、国会の立法権を行政に移してしまう結果を招くということです。行政から立法へではなく、反対に、議員が多数を官僚組織に配置されることで、むしろ、行政府の権限が増強され、行政主導型が強まる恐れもあるのです。肥大化した行政システムを改革することは大事ですが、肝心の統治システムを壊してしまっては、何にもならないと思うのです。

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