時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

鳩山政権はチベット・ウイグル問題を提起できるのか

 鳩山代表は、衆議院選挙に先立って、首相に就任しても靖国神社には参拝しないと明言しているようです。おそらく、先の戦争を「村山談話」を引き継いで、”侵略戦争”と見なしているのでしょう。それでは、中国によるチベットウイグル侵略については、どのように対応するのでしょうか。

 中国政府は、旧日本軍が大陸に足を踏み入れたことを”侵略”とみなし、”侵略軍”と戦ったことに、共産党政権の正当性を求めているようです。もし、この論理をそのまま中国に返すとしますと、チベット東トルキスタンの地に人民解放軍が足を踏み入れたことは”侵略”行為となりますし、もし、独立を掲げてかの地の人々が武器を持って戦ったとしますと、その”民族解放軍”は英雄となりましょう。第二次世界大戦以前の状況では、国際法が整備されておらず、戦後ほどには”侵略”行為を明確に定義することはできませんでした(今日でも、完全な定義は成立していない・・・)。中国の二つの侵略は、国際連合が発足した後に起きた事件であり、日本国のケースよりも、明確に”侵略性”を認定することができます。

 にもかかわらず、鳩山代表が、戦前の日本国を責める一方で、中国が現在行っている侵略について目を瞑るとしますと、これは、明らかにダブル・スタンダードとなります。もし、鳩山代表が、中国に対してこの問題を提起しないとしますと、国民は、大きく失望するのではないでしょうか。

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