時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政権と政策の同時選択は無理

 民主党政権は、マニフェストへの記載を盾に、国会での議論を経ることなく、インド洋の給油活動からの撤退を表明したようです。しかしながら、現在の選挙制度には、政権と政策を同時に選択できないという根本的な欠陥があることを考えますと、マニフェストの独走には歯止めをかけるべきと思うのです。

 今回の民主党政権の誕生は、国民が、政策ではなく、政権交代に比重を置いて投票したためと指摘されています。このことは、民主党に投票した国民が、必ずしも民主党の全ての政策を支持して投票したわけではなく、単に、政権の交代を望んだことを意味しています。この制度上の欠陥を是正するには、首相公選制、国民投票、政府と議会の権限の明確化など、政治制度改革が必要なのですが、それが実現するまでは、この欠陥が致命傷とならないように、現行の制度の枠組みで政府の暴走を制御してゆくしかありません。民主党の政策に不満を表明した国民に対して、選んだのは国民であると応じるのは、制度上の欠陥を考えれば、酷なことでもあります。

 民主党は、この制度上の欠陥を自覚し、与野党間で国会における徹底した議論を行い、国民が納得する形で政策決定を行うべきと思うのです。もし、国民が政権を選んだにも拘わらず、全ての政策を支持されているものと決めつけて政策運営を行いますと、人心が離れるのではないでしょうか。

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