時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国内の合意なき25%削減表明の行方

 昨日の鳩山首相の温暖化ガス25%削減表明は、各国から賞賛を受けているようです。それもそのはず、これまで、国際社会では、各国が負担の押し付け合いを演じてきたのですから、自ら大きな負担を引き受ける上に、諸外国に資金・技術の支援まで申し出た日本国の首相が、絶賛を受けないわけはありません。

 しかしながら、民主党政権が成立してから1週間も経たぬうちに、一国の首相が、国内の国民や企業へのさしたる説明もなく、国際社会で政策方針を明言することは、褒められたことなのか疑問なところです。鳩山首相のリーダーシップを評価するとの声も聞かれますが、真のリーダーとは、国内をまとめ、あらゆる方面の協力を取り付けてから、目的の達成に向かうものです。国内の各方面の協力を得るためには、具体的なスケジュールや目標達成を可能とする方法をも提示することも不可欠です(画期的な技術が開発されているのでしょうか?)。例えば、企業の経営者が、今年の目標は、前年比25%経費を削減する、と宣言しても、この経営者にリーダーシップがあるとは言わないはずです。方法も手段も示されずに、25%削減のノルマを課せられた社員達は、むしろ、困惑するのではないでしょうか。しかも、経費削減の対象が人件費にも及ぶとなれば、社員は、解雇の心配までしなければならなくなります。

 もし、鳩山首相が、リーダーシップを発揮するならば、まずは、25%の削減目標が達成できることを、誰もが納得する形で示すべきと思うのです。それができなければ、単なる掛け声だけの精神論になるか、国民に過酷な運命を強いることになるのではないでしょうか。

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